MATIASのスイッチ

MatiasのClickとQuiet Click

クリック感を楽しめるClickと、音を抑えたQuiet Click。どちらもALPS系の打鍵感を目指したMatiasのスイッチです。

構造のイメージ

左にMatias ALPS-inspired、右にCherry MX系を示した概念的なスイッチ構造ビジュアル。左側にキーキャップ、ステム、ばね、接点領域、ハウジングを示す番号がある12345
この図は構造のイメージです。実在部品の寸法、内部形状、互換性、性能を示すものではありません。
1

キーキャップ

指で触れる部分です。

2

ステム

キーの動きをスイッチへ伝えます。

3

ばね

押したキーを戻します。

4

接点領域

キー入力の信号に関わります。

5

ハウジング

内部の部品を収めます。

まず知っておきたいこと

ALPS系のスイッチは、昔のキーボードに使われていたものから、現在の互換系スイッチまで、かなり幅があります。名前が同じでも、押し心地や音が同じとは限りません。

このページでは、最初にMatiasのClickとQuiet Click、Cherry MXの代表的なタイプを紹介します。その後ろに、ヴィンテージALPSの系列差と部品の互換性をまとめました。後半は、キーボードの改造や修理を検討している方向けの資料です。

「ALPS-inspired」とは

Matiasが使っている「ALPS-inspired」は、純正ALPSそのものという意味ではありません。Matiasが自社で設計したスイッチで、ALPS系の構造や打鍵感を意識した製品です。純正ALPSとの互換性を保証する表示でもありません。[1]

Matiasの2種類

CLICK

クリック感を楽しむタイプ

押したときに段差があり、そのタイミングで「カチッ」という音も出ます。打鍵感と音をはっきり楽しみたい人向けです。Matias公式の仕様では、タクタイル・クリック、ピーク荷重60±5gf、ストローク3.5mm、寿命5,000万回とされています。[1]

QUIET CLICK

音を抑えたタクタイルタイプ

押したときの段差は残しながら、音が響きにくいようにしたタイプです。静音といっても無音ではありません。実際の音はキーキャップ、筐体、底打ちの強さで変わります。仕様の細部は、購入する製品の公式ページで確認してください。

Cherry MXと比べると

ここでは、Matias ClickとCherry MX Blue/Brownを代表例として比べます。スイッチの名前だけで優劣が決まるものではなく、音と押し心地の好みで選ぶものです。Cherryの製品は同じMX系でも、Linear、Tactile、Clickyなど複数の種類があります。[2]

比較項目
Matias Click
Cherry MX(代表例)
押し心地
段差があり、クリック音も出る
MX Blueは段差+クリック。MX Brownは段差があり、クリック音はない
ストローク
3.5mm(公式仕様)
4.0mm(MX Blue/Brownの例)
向いている人
ALPS系の感触と音が好きな人
MX系の豊富な選択肢から選びたい人

押し心地

MATIAS CLICK

段差があり、クリック音も出る。

CHERRY MX(代表例)

MX Blueは段差+クリック。MX Brownは段差があり、クリック音はない。

ストローク

MATIAS CLICK

3.5mm(公式仕様)

CHERRY MX(代表例)

4.0mm(MX Blue/Brownの例)

詳しく知りたい方へ:ヴィンテージALPSの資料

ここから先は、昔のキーボードを修理したい方や、スイッチを集めている方向けの内容です。一般的な説明よりも、型番や内部構造の話が中心になります。

メーカー保証ではありません。

このページは、公開資料と実物に基づく情報を整理して提供するものです。ここに載せた説明、図、寸法、打鍵感、互換性、部品の流用性、取り付け方法、動作、耐久性、修理結果について、Julius Industriesはメーカーとして一切保証しません。部品の交換や分解を行う場合は、対象機器の仕様と部品の状態を確認し、利用者自身の判断と責任で行ってください。

系列ごとの違い

SKCC

初期のヴィンテージALPS

SKCCはSKCL/SKCMより前の系列で、1980年以前から存在していたとされています。代表的な型はリニアで、押し始めから底まで大きな段差がありません。クリームやグリーンなどで荷重やスライダーの高さが異なり、背の高い型もあります。ALPSマウントでも、筐体の取り付け方や端子の向きは後の系列と同じとは限りません。[3]

SKCL

滑らかなリニア系

SKCLは、スイッチプレートと金属接点を使う複雑な構造のリニア系です。タクタイル用やクリック用のリーフを持たないため、押下中の段差は基本的にありません。潤滑の状態やばねの響きで、同じ系列でも印象が変わります。LED用の型番もあります。[4]

SKCM

段差とクリックのある系統

SKCMは、タクタイルまたはクリック用のリーフを組み込んだ系列です。段差を感じる位置があり、クリック型ではそこに音が加わります。Blue、White、Orange、Salmonなど色で呼ばれますが、色だけで打鍵感を決めることはできません。スイッチプレート、スライダー、シェル、潤滑の状態は世代で変わります。[4]

SKBL/SKBM

簡略化された後期系

SKBL/SKBMはALPSマウントを使いながら、内部の接点機構を簡略化した系列です。資料上はForward Electronics製として扱われるものが多く、SKBLにはリニア、SKBMにはタクタイルやクリックの型があります。SKBM Whiteはクリック型ですが、旧来のSKCM Whiteと同じ構造ではありません。[5] [6]

ALPS Electricの前身は1948年に創業し、同年からスイッチの製造・販売を始めました。キーボードでよく知られるKCLやSKCL/SKCMが使われた時期は1980年代以降です。会社の沿革と、個々のスイッチの発売時期は別の資料なので、ここでは分けて扱っています。[7]

MatiasとヴィンテージALPSの部品

Matiasは、純正ALPSの再発売品ではなく、ALPS-inspiredとして設計されたスイッチです。公式仕様では、ALPSキートップ、プレートマウント、メタルリーフ+ばねとされています。[1]

キートップ

まず確認しやすい部分

ALPSマウントのキートップは、MatiasとヴィンテージALPSの間で使える例があります。ただし、スカートの長さ、キーのプロファイル、隣のキーとの干渉、軸の向きと公差は確認が必要です。軸が入るだけで、実用上問題がないとは限りません。

ハウジングとプレート

外見が似ていても別物

MatiasやSKBL/SKBMの簡略化された接点機構は、SKCL/SKCMの複雑なスイッチプレートとは構造が違います。MatiasのトップハウジングをSKCMへ、またはその逆へ、丸ごと交換できるとは考えないでください。プレートの穴、固定爪、端子の位置、基板の配線も確認が必要です。[8]

内部パーツ

流用例はあるが、自己判断が必要

Matiasのsliderやタクタイル/クリック用リーフをSKCMへ入れたという実例があります。ばねも流用できたという報告がありますが、サイズや張力の違いで組み立てにくい場合があります。これはメーカーが保証する互換性ではなく、あくまでコミュニティの実例です。古い部品は一個だけ試し、押下感と導通を確認してから作業を進めてください。[8]

まとめると、キートップは比較的試しやすい一方、ハウジング、スイッチプレート、基板まで含めた完全互換ではありません。Cherry MXのキートップや内部部品も別規格なので、通常はそのまま使えません。[2]

参考資料

このページでは、メーカー公式情報と技術資料を参照しています。ALPS系は型番や製造時期による差が大きいため、個別の記載をシリーズ全体へそのまま当てはめないようにしています。

  1. Matias, Matias Click Mechanical Keyswitches — Matias Clickの公式仕様、ALPS-inspired design、ALPSキートップ、プレートマウント。
  2. CHERRY, Switches — 現行MXの分類と公式仕様。
  3. Deskthority, Alps SKCC series — SKCCの時期、構造、接点方式、取付方式。
  4. Deskthority, Alps SKCL/SKCM series — SKCL/SKCMの世代、スイッチプレート、リーフ構造。
  5. Telcontar, Forward Electronics SKBL/SKBM — SKBL/SKBMの型番別のLinear/Tactile/Clicky分類。
  6. Deskthority, Alps SKBM White — SKBM Whiteの仕様とSKCM Whiteとの関係。
  7. Alps Alpine, History — Alps Electricの沿革。
  8. Geekhack, Matias switches and generic alps – interchangeable? — Matiasと複雑系ALPSの部品交換に関するコミュニティ実例。メーカー保証ではありません。
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